表計算に組み込まれたAI機能とチャットAI、作業別の使い分け
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結論から言うと、使い分けの軸は「AIの賢さ」ではありません。「ファイルの中身をAIに見せる必要があるか」と「結果を表にそのまま反映したいか」です。 • 手元の表を直接読ませ、列の追加や集計、グラフ作成まで任せたいなら、アプリ内のAI(ExcelのCopilot、スプレッドシートのGemini)が向いています。 • 式の考え方の相談、手順の整理、スクリプトの下書きなど、表そのものを渡さなくても成り立つ作業は、列名とダミーの数行で外のチャットAIに相談できます。実データを出さずに済み、やり直しも簡単です。 • 個人情報や取引先情報を含む表は、どちらを使う場合も先に利用ルールを確認します。 本稿は自動校閲を経た原稿で、人による取材や実機での操作確認はしていません。公式情報は2026年10月28日に閲覧した内容です。
作業別の使い分け表
次の表は公式の仕様ではなく、本稿の編集上の目安です。
- 既存の表に計算列を追加する、向く道具:アプリ内AI、理由と注意:列名や範囲を直接参照できます。追加後の数式を数行、手計算と照合します。
- グラフ・ピボットテーブルを作る、向く道具:アプリ内AI、理由と注意:結果をそのままシートで調整できます。集計範囲が意図どおりか確認します。
- 自由記述の分類・要約、向く道具:アプリ内AI(個人情報がなければ)、理由と注意:元の行と突き合わせやすいです。先頭10行ほどを人が読み、基準を確かめます。
- 関数の書き方・意味の相談、向く道具:チャットAI、理由と注意:列名と3行ほどのダミーで足ります。
- 集計の進め方の整理、手順書の下書き、向く道具:チャットAI、またはExcelの計画モード、理由と注意:計画モードは編集前に計画を立てるためのモードです。
- スクリプトやマクロの下書き、向く道具:チャットAI、理由と注意:コピーしたファイルで試し、何をするコードか自分で読んでから使います。
- 氏名・住所・顧客名を含む名簿の整形、向く道具:まず利用ルールを確認、理由と注意:勤務先の方針や契約プランで可否が変わります。迷う間は、列を伏せたダミーで手順だけ作ります。
- 共同編集中のファイルの大きな変更、向く道具:複製で試してから、理由と注意:保存したCopilotの変更は、ファイルにアクセスできる人に見えます。本番での試行は避けます。
ExcelのCopilotで確認できたこと
MicrosoftのCopilot in Excelのよくある質問には、編集・計画・チャットの3モードが書かれています。編集モードはブックを直接編集し、計画モードは編集前に計画を立て、チャットモードは回答をチャット内にとどめます。編集・計画・チャットはWindows、Mac、Webで使えます。スマートフォンは機能が限られ、iPhoneとAndroidではチャットが使えると書かれています。提供状況は変わりうるため、手元の環境で確かめてください。
同じページに、次の注意点もあります。
- 作成物は、頼る前に確認・編集・検証すること。
- 保存した変更は、共同編集中の人を含め、ファイルにアクセスできる人に見えること。
- 編集には計算方法の設定が「自動」である必要があること。
- 変更は元に戻すか、以前のバージョンを見て戻せること。
- 利用にはライセンスが必要で、AIクレジット付きのMicrosoft 365 Personal/Family、Premium、法人向けのCopilotなどが挙げられていること。
分類や要約の検証には、データの分析に関する公式ページが役立ちます。分析内の上付き番号にカーソルを合わせると、Copilotが参照したデータを確認できると書かれています。
もう1点、実務に効く更新があります。セルに入れて使うCOPILOT関数は、2026年9月14日以降Excelで使えなくなりました。既存ブックの保存済みの結果は残りますが、再計算されると#NAME?エラーになります。公式は、Copilotペインで内容を伝えて同様の作業を頼む形を案内しています。AI機能は提供形態が変わることがあるので、重要な計算の根幹を預けないほうが安全です。
法人向けの扱いは、Microsoftのデータ・プライバシー・セキュリティの説明にあります。プロンプト、応答、Microsoft Graph経由のデータは基盤モデルの学習に使われないとされています。一方で、やり取りの内容は保存され、管理者が検索や保持ポリシーの設定をできます。「学習に使われない」と「履歴が残らない」は別の話です。この資料は商用顧客向けの説明で、個人向けプランに同じ条件が当てはまるかは、この資料だけでは判断できません。
スプレッドシートのGeminiで確認できたこと
Googleのスプレッドシート向けAIの製品紹介ページでは、表やグラフの作成、数式の生成、データの整理、スマートフィルによる入力、ピボットテーブルや条件付き書式の操作、傾向や外れ値の把握が紹介されています。
同ページには、Workspaceの各種プランでプレミアムAIが使えるようになったこと、組織の既存の制御や権限が適用されること、許可なく組織外で生成AIモデルの学習に使われないことも書かれています。
ただし、これは製品紹介です。自分のプランで使えるか、機能ごとの提供状況、利用に必要な管理者設定は、Googleの現行ヘルプと管理者に確かめてください。
そのまま使える依頼文の例
以下は説明用の例で、実際に実行して確かめた結果ではありません。データはすべて架空です。
アプリ内AIに頼む場合(自由記述の分類)
説明用の表:A列「ご意見」(例:「月額が高いと感じる」「画面が見づらい」「問い合わせの返事が遅い」)
A列「ご意見」を読み、B列に分類を入れてください。分類は「料金」「使いやすさ」「サポート」「その他」の4つだけです。C列には、その分類にした理由を20字以内で書いてください。判断に迷う行は、B列に「要確認」と入れてください。A列と既存の列は変更しないでください。
結果は次の3点で確認します。
- 「要確認」の行を全部読む。
- 残りから10行ほど抜き、分類が妥当か見る。
- B列の件数合計が元の行数と一致するか数える。
チャットAIに頼む場合(式の相談)
Excelで使う式を教えてください。A列に「2026/10/05」の形式の文字列が入っています。月の数字だけをB列に出したいです。例として3行(2026/10/05、2026/11/20、2027/01/03)を使います。式と、各部分の意味を1行ずつ説明してください。
返ってきた式は、ファイルの複製で3行ほど試し、期待した値になるか見てから本番に使います。
利用前に公式ページで確かめる項目リスト
- 契約と対象:自分のプランでその機能が使えるか。個人向けと法人向けで条件が違う場合があります。
- 利用できる環境:Windows、Mac、Web、スマートフォンのどれで使えるか。端末ごとに機能が異なります。
- データの扱い:入力した表やプロンプトが、学習に使われるか、履歴として残るか、誰が閲覧・検索できるか。
- 社内外のルール:個人情報、顧客情報、未公開情報を入力してよいか。勤務先や学校の規程を優先します。
- 共同編集の影響:AIの変更が他の編集者に見えるか、元に戻す方法があるか。
- 機能の提供状態:提供中か、変更・終了の予定がないか。COPILOT関数のように提供が終わった例もあります。
- 管理者設定:Geminiは、管理者の設定が利用に関わる場合があります。Copilotも、組織のプライバシー設定で使えなくなることがあります。
- 外のチャットAIの規約:入力内容の保存、学習利用の設定、業務利用の可否を、サービスごとの公式の規約で確認します。
確認が取れない間は、実データではなく列名と架空の数行に置き換えて相談する運用が安全です。

