SNSで流れてきた話をAIで確かめる:発信元と最初の投稿をたどる手順
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SNSで見かけた話をAIで確かめるときは、「これは本当ですか」と聞く前に、誰が、いつ、何を根拠に言い出したのかをたどります。AIには主張の分解と、最初の投稿や元資料の「候補探し」を任せます。候補のページを開いて日時と内容を照合するのは人の仕事です。真偽の判断は、その後に回します。 AIの検索が付ける出典リンクと、内容が正しいことは別だからです。OpenAIのヘルプは、ChatGPTの検索結果や引用は不完全・古い・誤りの場合があるとして、引用元を開いて回答を裏づけているか確かめ、公開日や更新日を見るよう案内しています(2026年10月28日に英語版を確認。検索機能を使えるかどうかは、利用環境や設定によります)。この記事は、その確認を順番に落とし込んだ手順票です。
この記事の目次
手順票:出所・日時・元資料を順に埋める
メモアプリや表計算にコピーして、上から順に埋めてください。空欄のまま次へ進まないのがコツです。
- 1、確認項目:主張の分解、記入内容:事実として言い切っている点を1〜3個に分ける、誰が確認:AIが案、人が修正
- 2、確認項目:手元の投稿情報、記入内容:投稿者名、投稿日時(表示のまま)、URL、画像の有無、誰が確認:人
- 3、確認項目:最古の投稿候補、記入内容:同じ話・同じ画像が載った最も古い投稿やページのURLと日時、誰が確認:AIが候補、人がページを開く
- 4、確認項目:元資料、記入内容:発表文、記録、原本の画像・動画、当事者の公式発表のURL、誰が確認:AIが候補、人が開く
- 5、確認項目:日時の整合、記入内容:出来事、最古候補、手元の投稿の日時の前後関係、誰が確認:人
- 6、確認項目:文脈のずれ、記入内容:元の話と拡散版で違う場所・時期・人物・数字、誰が確認:人
- 7、確認項目:確度ラベル、記入内容:後述の判断表から選ぶ、誰が確認:人
3と4でAIが挙げたURLは、あくまで候補です。ページを開き、日時と本文が実際に一致するのを見てから記入します。
ステップ1:主張を分解する
AIに渡すのは投稿の本文です。画像を渡す場合は、投稿者以外の個人の顔・氏名・住所などが写っていないか先に確認し、写っていれば隠します。アカウント名を伏せても、本文の特徴だけで検索できます。
次の投稿が主張している内容を、事実として確認できる単位に分けてください。
- 「いつ」「どこで」「誰が」「何が起きた」「数字」に分類する
- 意見や感想と、事実の主張を分ける
- それぞれ、確認に使えそうな一次情報の種類(公的機関の発表、当事者の公式発表、原本の記録など)を挙げる
- 真偽の判定はしない
投稿本文:【本文を貼り付け】
投稿日時(画面表示のまま):【例:2026年10月27日 21:14】「真偽の判定はしない」と書くと、確認項目の整理だけが返ってきます。抜けや言い過ぎがあれば、ここで人が直します。
ステップ2:最初の投稿と元資料の候補を探す
テキストの場合
特徴的な一文をAI検索や通常の検索に入れます。見つからなければ見つからないと答えさせるのが大切です。
次の文章(または近い内容)が最も早く現れた投稿やウェブページを探してください。
- 候補は、URL・表示されている日時・投稿者や掲載元を表で出す
- 日時が確認できない候補は「日時不明」と書く
- 推測で日時や投稿者を補わない
- 見つからない場合は「見つからなかった」と答える
- 古い順に並べる
文章:【特徴的な一文】Perplexityは、回答に番号付きの引用を付けて元のソースへリンクすると説明されています。同じ手順で使えますが、リンク先を開いて確かめる前提は変わりません。
画像の場合
画像の出所は、AIに「この画像の出所は?」と聞くより、画像検索側の機能を使うほうが筋が通っています。Googleは「この画像について(About this image)」を、画像の文脈や信頼性を判断しやすくする情報リテラシー施策の一つとして紹介しています(2023年5月の記事)。表示される項目や使える範囲は、画像・端末・地域で異なる場合があります。
初出の時期らしき情報が出ても、画像が実際に作られた日や最初に公開された日とは限りません。手順票には「検索サービス上の初出の目安」と区別して書き、より古い掲載が見つかったらそちらを優先します。
元資料に当たる
最古の候補が見つかったら、その投稿が何を根拠にしているかを探します。AIに渡すのは、候補のURLと、人が読み取った事実だけにします。
最古の候補として私が確認したページは次のとおりです。
- URL:【URL】
- 表示されている日時:【日時】
- 内容の要約(私が読んだもの):【要約】
この話の元になっていそうな一次資料(発表文、公的な記録、原本の映像・画像、当事者の公式発表)を探し、URLと資料の日付を出してください。
拡散されている話と食い違う点があれば、箇所を挙げてください。返ってきたURLは必ず開き、次の3点を見ます。
- 資料の日付は、出来事の日時と合っているか
- 拡散された話の数字・場所・人物が、資料に書かれているか
- 一次資料か、別の誰かの転載・要約ではないか
結果がおかしいときは、参照元・日付・場所を指定して検索し直させる方法もヘルプに書かれています。「公的機関の発表ページに限って探して」と条件を足すのは有効です。
ステップ3:日時を並べ、文脈のずれを見る
日時の整合はAIに任せず、自分で次の3つを並べます。
- 出来事が起きたとされる日時(元資料による)
- 最古の投稿候補の日時
- 手元の投稿の日時
2が1より古い場合は、同じ出来事の投稿ではなく、別の出来事の写真や話の使い回しか、日時の読み違いが考えられます。3が2より古ければ、その候補は最古ではないので、ステップ2に戻ります。国をまたぐ投稿は、タイムゾーンで日付が1日ずれることがあるため、日本時間に直してから比べます。
文脈のずれは、「古い出来事が最近のものとして出回る」「別の場所の写真が使われる」「発言の一部だけが切り取られる」といった形で出ます。元資料と拡散版を並べ、場所・時期・人物・数字のどれが違うかを書き出してください。
確度ラベルの付け方
最後に、真偽ではなく確認できた範囲でラベルを付けます。
- 元資料で確認できた、条件:一次資料を開き、日時と内容が拡散版と一致、次の行動:共有するなら元資料のURLを添える
- 文脈がずれている、条件:元資料はあるが、時期・場所・数字などが違う、次の行動:違う点を明記し、元資料へ誘導する
- 候補はあるが未確認、条件:候補のページは開けたが、日時や内容を照合できない、次の行動:追加で一次資料を探す
- 出所を特定できない、条件:最古の候補も元資料も見つからない、次の行動:共有しない。続報や公式発表を待つ
- 判断を見送る、条件:医療・法律・安全に関わる話で、公的な情報を確認できない、次の行動:該当する公的機関や専門窓口の案内を確認する
「出所を特定できない」は「嘘」という意味ではなく、見つからなかっただけです。この区別を保つため、ラベルに「本当/嘘」は使いません。
記入例(説明用の架空の例)
以下は手順票の使い方を示す架空の例です。実在の投稿ではなく、実際に操作した結果でもありません。
投稿:「◯◯駅で昨日、大規模な停電があり、全線が止まった」(投稿日時 10/27 21:14、写真つき)
- 1、記入:場所=◯◯駅/時期=昨日/規模=全線停止の3点に分解
- 3、記入:同じ写真を載せた最古のページは、約2年前の日付(検索サービス上の初出の目安)
- 4、記入:鉄道会社の運行情報ページに、昨日の日付に該当する記載なし
- 5、記入:出来事=昨日とされる/最古候補=約2年前。前後関係が合わない
- 6、記入:写真は以前の別の出来事のものの可能性。場所の一致は未確認
- 7、記入:文脈がずれている可能性。ただし昨日の運行状況は公式発表で再確認が必要
「写真が古い」ことと「今回の話が事実でない」ことは別です。写真が古くても、出来事自体は起きているかもしれません。手順票で画像の出所と出来事の裏付けを別の行に分けているのは、そのためです。

