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AIの要約から消えた但し書きを探す:例外・条件・留保の抜けを原文で確かめる

AIを使いこなす

執筆にClaudeを使用しています。

紙の規約書の「ただし」の行に定規を当て、要約メモにない一文を蛍光ペンでなぞって確認している机の上の場面。
記事の内容をもとに制作したAI生成イメージです。実際の製品画面や検証結果の写真ではありません。

AIの要約で「〜できます」「〜は対象です」と言い切られていたら、原文にあった例外・条件・留保が落ちているかもしれません。要約を読み返しても、消えたものは見えません。確実なのは、原文側から「但し書きが書かれやすい場所と言い回し」を種類別に探すことです。 この記事では、そのための確認表と、AIに抜けを洗い出させる質問文、人が行う照合の手順を用意しました。AIの洗い出しも間違えるので、最後は人が原文と照合します。 各社の案内も同じ方向です。Claudeのサポートページは、元のサイトには要約に含まれない重要な文脈や詳細がある場合があると説明しています。OpenAIのヘルプは、引用文やデータ、外部文書への言及を必ず確認し、リンク先を直接開くよう勧めています。Perplexityは、回答に番号付きの引用が付き、元の情報源で確かめられると説明しています。ただし引用が付いていても、その引用先に但し書きまで書かれているかは別問題です。そこは人が見ます。

この記事の目次
  1. まず、どこで消えたかを切り分ける
  2. 但し書きの種類別・原文の確認表
  3. 抜けを洗い出す質問文
  4. 人が行う照合の手順
  5. 説明用の例:架空の規約で当てはめる

まず、どこで消えたかを切り分ける

「但し書きが消えた」は、実際には3つに分かれます。対処が違うので、最初に見分けます。

  1. 要約の段階で落ちた:原文には書いてあるのに、要約文に入っていない。
  2. 別の場所にあった:脚注、表の注記、別表、リンク先の規約などに書かれていて、AIが読んでいない。
  3. そもそも原文にない:要約が断定に見えるだけで、原文も断定している。

次の確認表は主に1と2を拾うためのものです。3は、確認表を一巡して該当がなかった結果として分かります。

但し書きの種類別・原文の確認表

原文を開いたら、「見る場所」と「探す言い回し」を順に当たります。言い回しは日本語の文書で出やすい例で、これに限りません。

  • 例外(再例外を含む)、要約でこう見える:「全員が対象」「例外なし」、原文の見る場所:本文直後の段落、「対象外」の節、表の注記、例外の節の中、探す言い回しの例:ただし、除く、対象外、この限りでない
  • 条件、要約でこう見える:「申請すれば受けられる」、原文の見る場所:要件の節、手続の節、別表、探す言い回しの例:場合に限り、以下の要件を満たす、かつ
  • 範囲・対象者、要約でこう見える:「利用できる」、原文の見る場所:定義の節、冒頭の用語説明、脚注、探す言い回しの例:本規約において、とは、個人に限る、国内に限り
  • 時点・期間、要約でこう見える:「無料」「上限はこの値」、原文の見る場所:発行日・改定日、経過措置、附則、ページ下部の日付、探す言い回しの例:現在、○年○月まで、当分の間
  • 義務の強さ、要約でこう見える:「〜しなければならない」、原文の見る場所:助動詞そのもの、探す言い回しの例:努めるものとする、できる、することがある、原則として
  • 確からしさの留保、要約でこう見える:「効果がある」「原因は〜」、原文の見る場所:結論・考察・限界の節、要旨の末尾、探す言い回しの例:示唆される、可能性、今回の対象では、さらなる検証が必要
  • 数値の前提、要約でこう見える:「平均○%」、原文の見る場所:表の見出し、図のキャプション、方法の節、探す言い回しの例:対象者、調査時点、サンプル、条件下で
  • 他文書への委任、要約でこう見える:「規定されている」、原文の見る場所:「別に定める」「詳細は〜参照」の箇所、探す言い回しの例:別に定める、詳細は、参照、細則

使い方のコツは二つです。

  • 助動詞を見る:「できる」が「することがある」「努めるものとする」に変わるだけで意味は大きく変わります。要約が「可能です」「義務です」と言い切っていたら、原文の語尾を確かめます。
  • 「別に定める」は、その先まで開く:条件が別表やリンク先にあると、要約の元になった本文には但し書きがありません。

抜けを洗い出す質問文

AIには要約を直させるのではなく、原文から但し書き候補を抜き出させ、位置を示させるのが安全です。結論を書かせると、また丸められてしまうためです。

質問文A:原文から候補を抜き出す

以下の【原文】から、結論や主張を制限する記述だけを抜き出してください。
対象は、例外、適用条件、対象範囲の限定、時点や期間の限定、
義務の強さを弱める語尾、確からしさの留保です。

出力は表形式で、列は次のとおりにしてください。
種類 / 原文の一文(一字も変えずにそのまま) / その文がある見出しや位置 / 影響を受ける主張

守ってください:
- 原文にない但し書きは作らない
- 原文の文は要約せず、そのまま引用する
- 該当がない種類は「見当たらない」と書く
- 「別に定める」「参照」など、他の文書に委ねている箇所も挙げる

【原文】
(ここに貼り付け)

質問文B:要約と原文を並べて、落ちた箇所を出す

【要約】の各文について、【原文】にある例外・条件・留保のうち、
その文に関係するのに要約に含まれていないものを挙げてください。
関係する原文の一文を、そのまま引用してください。
関係するものが原文にない文は「原文側に制限なし」と書いてください。

【要約】
(ここに貼り付け)

【原文】
(ここに貼り付け)

どちらも「一字も変えずにそのまま」引用させる点が重要です。あとで人が原文内を文字列検索して、実在を確かめられます。

長い文書やPDF全体を渡せないときは、定義、例外、附則、注記、限界など関係しそうな節を選んで貼り、冒頭に「渡した範囲以外については判断しないでください」と足します。機密や個人情報を含む文書は、固有名詞や数値を置き換えた版で試してから使ってください。

人が行う照合の手順

AIが出した表は確定結果ではなく候補です。次の順で確かめます。

  1. 引用文を原文内で検索する:表の「原文の一文」を検索機能(Ctrl+F / ⌘F)に貼ります。一致しなければ、作られた文か言い換えです。
  2. 前後を読む:一致したら、その段落の前後と見出しを読み、要約のどの文に対応するかを確認します。「必ず」「誰でも」「すべて」などの断定語を含む文から優先すると効率的です。
  3. 確認表を一巡する:AIが挙げなかった種類も、「見る場所」を自分で見ます。注記、附則、定義、限界の節は取りこぼされやすい場所です。
  4. 版と日付を確認する:発行日、更新日、適用開始日が、要約に使った時点と同じか確かめます。法令や規約は改正で内容が変わることがあります。
  5. 要約を直す:落ちていた但し書きを要約文に戻します。作業をAIに頼んでもかまいませんが、直した文に原文の語尾(「できる」「原則」など)が残っているかは人が見ます。

次回からは、要約を頼む段階で「各文の末尾に、例外・条件・時点の限定があれば※で短く付記し、原文の見出しか位置を示す。なければ何も付けない」と指示しておくと、探す手間が減ります。抜けがなくなるわけではありませんが、※のない文を重点的に照合できます。

説明用の例:架空の規約で当てはめる

以下は、この記事のために作った説明用の架空の例で、実際にAIへ入力して得た結果ではありません。

【原文(架空)】

本キャンペーンでは、購入金額の10%をポイントで還元します。ただし、定期購入の商品および「対象外」と表示された商品は還元の対象外とします。還元ポイントの付与は、購入完了から原則として30日後です。なお、付与時点で会員登録が有効でない場合、ポイントは付与されません。

【AIの要約(架空)】

購入金額の10%がポイントで還元されます。

  • 例外、原文の該当部分:定期購入、「対象外」表示の商品は対象外、要約への影響:全商品に当てはまるように読める
  • 時点・期間、原文の該当部分:購入完了から原則30日後に付与、要約への影響:すぐ受け取れるように読める
  • 義務の強さ、原文の該当部分:「原則として」、要約への影響:30日が例外なく固定とは限らない
  • 条件、原文の該当部分:付与時点で会員登録が有効であること、要約への影響:無効なら付与されない点が消えている

この要約に間違った数字はありません。それでも読者は「どの商品でも、すぐ、確実にもらえる」と受け取るかもしれません。嘘が足されるのではなく、制限が消えることで断定に見える、というのがこのトラブルの典型です。

出典・参考資料