生成AIに入力してよい情報・避ける情報の仕分け表と判断の順番
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

結論から言うと、入力してよいかは「個人情報か機密か」という名前で決めるより、決まった順番で質問に答えて決めるほうが迷いません。最初に確認するのは、情報の中身ではなく「そのAIツールを、そのアカウントで使ってよいか」です。次に、パスワードのような常に避ける情報を除きます。その後で、特定の人が分かるか、自分に預けられた情報か、置き換えても目的が果たせるかを見ます。 この記事では、公開・社内・個人・機密の4段階の仕分け表と、迷ったときの5つの質問を示します。4段階の線引きと質問の順番は編集部の提案です。法律の判断や、会社ごとのルールの代わりにはなりません。
まず押さえる前提:「学習オフ」は秘密保持ではない
仕分けの前に、設定でできることとできないことを分けておきます。
OpenAIのヘルプによると、ChatGPTの「Improve the model for everyone」をオフにすると、新しい会話はモデルの学習に使われませんが、履歴には残ることがあります。一時チャットは履歴に表示されずモデル改善にも使われませんが、安全目的で最大30日間保持されることがあります。Business、Enterprise、Eduなどの管理対象ワークスペースでは、既定でモデル学習に使われません(2026年10月29日に確認。設定や仕様は変わる可能性があります)。出典:OpenAI ヘルプ:Data controls in ChatGPT
Claudeのヘルプでは、シークレット(incognito)チャットはモデル改善に使われないとされています。一方で、安全上フラグが立った会話は、安全性に関する目的などで利用されることがあります。また、金融情報、健康記録、パスワード、機密文書などの高度に機微な情報は、共有に注意するよう案内されています(2026年5月22日付のページを2026年10月29日に確認)。出典:Claudeヘルプ:機微なデータの入力と会話の閲覧者
つまり「学習されない」ことと「外部に出しても守られる」ことは別の話です。取引先との秘密保持契約や社内規程は、AIの設定とは無関係に守る必要があります。
個人情報については、個人情報保護委員会が生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています(個人情報保護委員会:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について)。仕事で個人データを扱う場合は、個別の適法性を自分で判断せず、社内の個人情報の担当者に確認してください。IPAも、AI利用者向けに最低限実施すべきセキュリティ対策をまとめた資料を案内しています(IPA:AIセキュリティ)。
4段階の仕分け表
下の表は、入力前に「どの段に当たるか」を決めるためのものです。会社がAIツールを承認している場合は、その規程が優先します。
- 公開、説明用の例:公開済みのプレスリリース、自分が書いたブログ原稿、一般向けのFAQ、入力の扱い:入れてよい。他人の著作物は利用条件を確認する
- 社内、説明用の例:公開していない会議の論点、業務手順、社内向けの文面の下書き、入力の扱い:会社が承認したツール・アカウントなら可。個人アカウントでは固有名詞を置き換える
- 個人、説明用の例:氏名、メール、電話番号、顧客や従業員の一覧、顔写真、体調に関する記述、入力の扱い:原則は仮名にして入力。置き換えられないなら入れない
- 機密、説明用の例:パスワード、APIキー、マイナンバー、カード番号、未公開の業績、秘密保持契約の対象資料、契約書の原本、入力の扱い:入れない。例外は、会社が明示的に認めた環境だけ
「個人」と「機密」は重なることがあります。重なったときは、重いほうの段階として扱ってください。
迷ったときの質問5つ(この順番で)
- このツールとアカウントは、この用途で使ってよいですか? 会社の許可がない個人アカウントなら、「社内」以上の情報は入れません。この質問が最初なのは、他の4つがどう答えられても、使用許可がなければ入力できないからです。
- パスワード、認証キー、番号類(マイナンバー、カード番号など)を含んでいませんか? 含むなら、そこで終わりです。文面から削除するか、入力しません。
- 特定の人が分かりますか? 氏名や連絡先がなくても、役職と日付の組み合わせなどで分かる場合があります。分かるなら、「顧客A」「担当者B」のように置き換えます。
- 自分のものですか、預かったものですか? 取引先から受け取った資料や、秘密保持の対象は「機密」です。自分の判断で入力しません。
- 置き換えても目的は果たせますか? 出力は人が確認できますか? 置き換えると意味が失われるなら、AIに頼まず人が作業します。出力は事実や数字を必ず人が確かめてから使います。
置き換えの実例(説明用の例)
以下は、実在しない人物・案件を使った説明用の例です。実際にAIで試した結果ではありません。
元の文面
山田太郎様(yamada@example.com)から、請求書A-1024の金額482,000円が契約と違うと連絡がありました。お詫びと確認のメールを書いてください。
置き換え後の入力
顧客Aから、請求書の金額が契約内容と違うという連絡がありました。お詫びと確認依頼のメール文面を書いてください。宛名と金額、請求書番号は【】で空欄にしてください。
AIには文面の型だけを作らせ、宛名や金額は自分で入れます。この形なら、AIに渡す情報は「個人」でも「機密」でもなく、ほぼ「社内」の段階に下がります。
そのまま使える依頼文の型
AIに仕分けを手伝わせることもできます。ただし、判断したい文面そのものを貼ると本末転倒なので、情報の種類だけを書いて聞きます。
これから生成AIに入力したい資料があります。中身は貼らず、種類だけ伝えます。
- 内容:顧客からのクレームメールへの返信文の作成
- 含まれるもの:顧客の氏名、メールアドレス、請求金額
- 使うツール:会社が承認していない個人アカウント
次の順で答えてください。
1. 入力前に置き換えるべき項目と、置き換え例
2. 置き換えても目的が達成できるか
3. 出力を使う前に人が確認すべき点AIの答えは参考です。最終的な線は、会社のルールと自分の質問5つで決めます。
運用のコツ:判断を毎回やり直さない
毎回5つの質問に答えるのは大変なので、よく使う作業だけテンプレート化します。
- 置き換え表を用意する:「顧客A=実名」の対応表を自分の手元に作り、AIの出力を受け取ったら元に戻します。対応表自体はAIに入力しません。
- 「入れない項目」を先に書く:定型の依頼文の冒頭に「氏名・金額・番号は【】のままにして」と入れておくと、貼り付けのミスを減らせます。
- 迷ったら入力しない:質問5つのどれかで答えに詰まったら、その場で上司や情報管理の担当者に聞きます。入力した後には取り消せないことがあるためです。
仕分け表は、最初は紙1枚の簡易版で構いません。自分の仕事でよく出る情報を4段階に1つずつ書き込んでおくと、次から迷う時間が短くなります。

