何から調べるか決める:AIで洗い出した仮説に、影響と確かめやすさで順位をつける
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

AIに「売れない理由を考えて」と頼むと、仮説は10個でも20個でもすぐに出てきます。困るのはその後で、全部を調べる時間はなく、どれから手を付けるかの根拠もありません。 答えを先に書きます。順番は「その仮説が外れていたとき、進めている施策がどれだけ困るか(影響)」と「確かめるのにかかる手間」の2つで決められます。影響が大きく、手間が小さいものから調べます。影響が大きくて手間も大きいものは、小さな確認に分けてから着手します。影響も小さく手間が大きいものは、今回は調べません。 AIに任せるのは、仮説の洗い出しと、2軸の仮採点、確認方法の案までです。事業の事情を知っているのは担当者なので、採点の最終判断は人が行います。この記事では、そのための指示文2本と、並べ替えの表を示します。
仮説を洗い出させる指示文
まず、仮説を「調べられる形」で出させます。ここで外せないのは、背景を渡すことと、出力の形を指定することです。OpenAIのヘルプは、文脈・結果・長さ・形式などを曖昧にせず具体的に書くことを勧めています。Claudeのヘルプも、背景知識のない人に説明するつもりで文脈を書くこと、複雑な依頼は段階に分けることを挙げています(確認したページの日付表示は2026年3月16日)。
次の指示文の【 】を自分の内容に置き換えて使います。
あなたはマーケティング調査の補佐役です。
次の状況について、「確かめられる形の仮説」を12個出してください。
## 状況
- 商品・サービス:【名称と一文の説明】
- 決めたいこと:【例:新モデルの訴求を何にするか】
- 現在の施策:【例:検索広告とECの商品ページ】
- 手元にある情報:【例:問い合わせ履歴、アクセス解析、購入者アンケート】
- 期限と調査にかけられる人手:【例:2週間、1人】
## ルール
- 仮説は「〇〇だから△△のはず」の形で書く。
- 顧客、市場、競合、価格、伝え方、導線の観点を偏らせない。
- 市場規模や割合などの数字は作らない。わからない点は「不明」と書く。
- 各仮説について、外れていたら何が起きるか、確認に使えそうな情報源を書く。
## 出力形式
表にする。列は
ID / 仮説 / 外れていたときに起きること / 確認に使えそうな情報源 / 事実か推測か「事実か推測か」の列は、AIが出した内容を事実として扱わないための歯止めです。ここに「推測」と書かれた仮説は、調べる対象であって結論ではありません。
渡す情報の扱い
状況欄には、個人が特定できる顧客データや社外秘の数値をそのまま貼らないでください。件数や傾向を丸めた説明用の言い換えで足ります。個人情報保護委員会は、生成AIサービス利用に関する注意喚起を令和5年(2023年)6月2日付で掲載しています。個人情報を含む入力をする場合は、自社の利用目的や契約するサービスの利用規約を確認してください。
優先順位マトリクスの作り方
2軸を3段階で決める
細かい点数は不要です。次の3段階で十分です。
- 3、影響(外れていたときの痛み):施策の方向や予算配分が変わる、手間(確認にかかる負担):新規の調査や他部署の協力が必要
- 2、影響(外れていたときの痛み):表現や配分の一部を直す、手間(確認にかかる負担):手元のデータを加工すれば確認できる
- 1、影響(外れていたときの痛み):ほとんど影響しない、手間(確認にかかる負担):既存の画面や集計を見れば確認できる
手間は「数字が小さいほど楽」、影響は「数字が大きいほど重い」と向きが逆です。AIに採点させるときは、この向きを必ず明記します。
2×2の判断表
影響を「大(3)/小(1〜2)」、手間を「小(1〜2)/大(3)」に分けると、次の4区分になります。
- **影響が大きい、手間が小さい:A:最初に調べる、手間が大きい:B:小さく分けて調べる**(例:全員への調査ではなく数人への聞き取りから)
- **影響が小さい、手間が小さい:C:ついでに確認する(他の確認のついでに見る)、手間が大きい:D:今回は調べない**(保留として記録する)
並べる順は A → B → C です。同じ区分の中では、影響の数字が大きいものを先にします。
説明用の例で並べてみる
以下は、順位づけの流れを見せるための架空の例で、実際の調査や測定の結果ではありません。「通勤向けの軽量保温ボトル(架空)」の新モデルで、訴求を決める担当者を想定しています。
- H1、仮説:購入者が重視するのは容量より「軽さ」のはず、影響:3、手間:1、区分:A、確認の方法(案):既存のレビューと問い合わせの文面を集計する
- H2、仮説:検索経由のほうが広告経由より購入に至りやすいはず、影響:3、手間:1、区分:A、確認の方法(案):アクセス解析で流入元別の購入数を見る
- H3、仮説:「高い」と感じる理由は、容量あたりの単価で比べられるからのはず、影響:3、手間:2、区分:A、確認の方法(案):離脱が多いページのコメントと、競合の表示価格を表に並べる
- H4、仮説:主な購入者は通勤する人だけでなく、ギフト目的も多いはず、影響:2、手間:2、区分:C、確認の方法(案):注文時のメッセージ・のし利用の有無を確認する
- H5、仮説:競合は他社のボトルではなく、コンビニの飲み物のはず、影響:3、手間:3、区分:B、確認の方法(案):まず3〜5人に購入前の行動を聞き、広げるか判断する
- H6、仮説:色の好みが商品ページ離脱の主因のはず、影響:1、手間:1、区分:C、確認の方法(案):色別の閲覧と購入の差を見る
- H7、仮説:海外在住者に洗いやすさが刺さるはず、影響:1、手間:3、区分:D、確認の方法(案):今回は保留
読み取り方は次のとおりです。H1とH2は、影響が大きく手間も小さいので最初に確認します。H3はやや手間がかかるものの影響が大きく、A区分に入ります。H5は影響が大きく、確認に手間がかかる区分です。いきなり大規模な調査には進まず、聞き取りで当たりを付けます。H7は調べません。ただし捨てずに「保留」として残します。
AIに仮採点させる指示文
洗い出した表をそのまま貼り、続けて次の指示を出します。
上の仮説表に、次の2列を足してください。
- 影響(1〜3):その仮説が外れていたとき、現在の施策や予算配分がどれだけ変わるか。3が最も大きい。
- 手間(1〜3):確認にかかる負担。1が最も楽(既存データを見るだけ)、3が最も大変(新規調査が必要)。
各点数に「その点数にした理由」を一文で付けてください。
前提が足りず採点できない仮説は、点数を付けず「情報不足」とし、必要な情報を書いてください。
最後に、影響が大きく手間が小さい順に並べ替えてください。この指示にある「情報不足」の逃げ道を用意しておくと、AIが根拠のないまま点数を埋めることを減らせます。
人が直すところ
AIの仮採点は下書きです。次の3点は、必ず担当者が見直します。
- 影響の点数:AIは自社の予算や契約、社内事情を知りません。「外れたら広告費の配分が変わる」といった判断は、担当者の補正が必要です。
- 手間の点数:実際にデータが取れるか、誰に頼めば出てくるかはAIにはわかりません。アクセス解析にその項目があるかは、画面で確かめてください。
- 「事実」と書かれた項目:AIが事実と分類したものも、出典がなければ仮説と同じ扱いにします。
見直したあとは、A区分から1つずつ確認し、結果を「当たり/外れ/判断不能」で記録します。外れた仮説の影響を受ける他の仮説は、採点をやり直す価値があります。

