週報が「やったこと一覧」で終わるとき、判断が要る報告に変えるAI活用
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週報が「やったこと一覧」になるのは、書き手の怠慢というより、読み手にどんな判断や行動をしてほしいかを書く欄がないことが主な原因です。作業は思い出せば書けますが、懸念や頼みごとは、意識して取り出さないと文章になりません。 AIに任せるのは、きれいな要約ではありません。作業メモから「このままだと困ること」と「上司や他部署に動いてほしいこと」を質問して引き出す役と、答えを型に流し込んで下書きする役です。この記事では、そのための週報テンプレート、AIへの依頼文、直す前後の例を順に示します。 なお、後半の例はすべて説明用の架空例で、実際に特定のAIで試した結果ではありません。
「やったこと一覧」に足りないもの
作業の羅列を読んだ上司は、次の三つを自分で推測しなければなりません。
- 予定どおりか、遅れているか、羅列にある?:作業名だけで判断できない、週報で書く欄:進捗(計画との差)
- 放っておくとどうなるか、羅列にある?:ほぼない、週報で書く欄:懸念(影響と時期)
- 自分は何をすればよいか、羅列にある?:ない、週報で書く欄:依頼事項(誰に・何を・いつまでに)
つまり、書き足すのは作業の詳細ではありません。計画との差、起きうる影響、相手の行動です。この三つが埋まれば、作業内容の記述は思い切って短くできます。
週報テンプレート
そのままコピーして使える形です。依頼事項は「誰に・何を・いつまでに」を必須にしています。
【週報】○月第○週 / 氏名:
■ 一言でいうと
(例:予定どおり/一部遅れ/判断待ちで止まっている)
■ 進捗(計画との差)
- 項目:状態(完了・進行中・未着手)/ 計画比(予定どおり・○日遅れ)
-
■ 懸念
- 内容:
影響:(何が・いつ頃・どの程度困るか)
現時点の対応:
■ 依頼事項(判断・協力のお願い)
- 宛先:
お願い:(承認/選択/情報提供/調整 のどれか)
期限:
期限までに決まらない場合:
■ 来週やること(上位3つまで)
- 「一言でいうと」を先頭に置くのは、忙しい読み手が最初の1行で、読み込む必要があるかを判断できるようにするためです。
直す前後の例(説明用の架空例)
営業部の問い合わせ管理ツールの入れ替えを担当している、という架空の場面です。
直す前
・要件整理の打ち合わせを実施
・ベンダーA社と打ち合わせ
・見積もりを依頼
・移行データの確認を進めた
・来週も継続直した後
■ 一言でいうと
一部遅れ。移行データの扱いに判断をいただきたいです。
■ 進捗
- 要件整理:完了
- ベンダー選定:A社の見積もり待ち(予定どおり)
- 移行データ確認:進行中(2日遅れ)
■ 懸念
- 旧システムの顧客メモ欄が自由記述で、そのままでは新ツールに移せない可能性があります。
影響:移行方式次第で、テスト開始が1週間ほど後ろにずれるかもしれません。
現時点の対応:メモ欄の記入パターンを一部抽出して確認中です。
■ 依頼事項
- 宛先:課長
お願い:メモ欄を「移行する/しない」のどちらで進めるかの判断
期限:今週金曜
期限までに決まらない場合:「移行しない」前提で見積もりを依頼します。
■ 来週やること
- A社見積もりの比較/移行方針の確定/テスト計画の作成作業の項目はほぼ同じでも、読み手は「金曜までに課長が判断する」という一点を迷わず把握できます。ここで重要なのは、期限までに決まらない場合の動きを書いていることです。依頼が返ってこなくても止まらない週報になります。
AIに渡す依頼文と回し方
手順
- 今週のメモを、箇条書きのまま貼る(整えなくてかまいません)。
- AIに、下書きの前に不足情報を質問させる。
- 質問に答える。わからない点は「不明」と答える。
- 上のテンプレートに沿って下書きさせる。
最初から下書きを頼むと、AIが懸念や期限をそれらしく補うことがあります。質問を挟むのはそのためです。
1回目の依頼文
あなたは週報の編集アシスタントです。
下の「今週のメモ」を、次の三つに仕分けるための質問を作ってください。
・進捗(計画との差)
・懸念(放置した場合の影響と時期)
・依頼事項(誰に・何を・いつまでに)
条件:
- まだ週報は書かないでください。
- 質問は最大7つ。メモの記述から答えが読み取れない点だけを聞いてください。
- 数字・日付・人名を推測で補わないでください。
読み手:(例)課長。判断は承認と優先順位の決定。
今週のメモ:
(ここに貼る)2回目の依頼文
質問への回答は以下です。次のテンプレートに沿って週報を下書きしてください。
- 回答にない事実は書かず、足りない箇所は【要確認】と書いてください。
- 懸念には必ず「影響」を、依頼事項には必ず「宛先・期限・決まらない場合」を入れてください。
- 作業内容の記述は短くしてください。
- 「一言でいうと」は、読み手が次に取る行動が分かる1文にしてください。
回答:(ここに貼る)
テンプレート:(上の型を貼る)翌週以降は前週分を添える
メモを毎週ゼロから貼るのが負担なら、前週の週報の「懸念」と「依頼事項」を2回目の依頼文に添えてください。「先週の依頼は解決したか」「懸念は続いているか」をAIに質問させると、書き忘れを減らせます。解決した依頼は「解決済み」と一行で閉じ、残った懸念だけを持ち越します。
送る前に人が確認すること
AIの下書きは、次の点を見てから送ってください。
- 事実、見るポイント:日付、数字、人名、遅れの日数がメモや実際の状況と合っているか
- 【要確認】、見るポイント:すべて埋めたか、削ったか
- 懸念の強さ、見るポイント:実際より大げさ、または控えめになっていないか
- 依頼の宛先、見るポイント:判断する権限のある人宛てになっているか
- 期限、見るポイント:相手の都合と、自分の次の作業から見て現実的か
- 言い回し、見るポイント:相手や社内の慣習に合うか。他部署への依頼が命令口調になっていないか
特に懸念は、AIが「それらしい影響」を書き足すことがある部分です。自分が説明できない影響は削ってください。
入力前に決めておく情報の扱い
週報メモには、顧客名や取引条件が混ざりがちです。貼る前に、社名を「A社」、金額を「約○万円」のような伏せた表現に置き換えてください。社内にAI利用ルールがあれば、それを優先します。
学習への利用設定も確認しておきます。ただし、学習利用の設定と、秘密を守れるかどうかは別の話です。
- OpenAIのヘルプ(Data controls)では、個人ワークスペースのChatGPTで「Improve the model for everyone」をオフにすると、以降の新しい会話は学習に使われないと説明されています。ただし、回答に高評価・低評価などのフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われうる旨も書かれています。ChatGPT Business、Enterprise、Eduなどの管理ワークスペースは、内容をモデルの学習に使わないとされています。
- Anthropicのヘルプ(Claudeの会話を誰が見られるか)では、個人向けのClaudeでモデル改善の設定を有効にしていると、会話が改善に使われうるとあります。シークレットチャットは、設定が有効でも対象外とされています。同ページは、機密性の高い業務文書などを入力しないよう案内しています。
プランや設定画面は変わるため、使う時点で各社のヘルプと社内ルールを確認してください。

