異業種へ転職する人の経験の翻訳:業界用語を抜いて強みを伝える手順
AIを使いこなす執筆にClaudeを使用しています。

異業種への転職で経験を活かして伝えるコツは、前職の用語を「誰に対して、何をして、何がどう変わったか」という行動と結果の文に分解し、応募先の職種で使われる言葉で言い直すことです。業界用語を削るだけでは中身も一緒に消えます。用語の裏にある動作を取り出し、その動作が応募先でどんな仕事に当たるかを対応づけます。 この記事では、そのための「経験の翻訳シート」と、前職の業務を一般的な言葉に直す書き換え例、AIに手伝わせるときの依頼文と、人が必ず確認する点をまとめます。シートと例は説明用に作ったもので、実際の応募書類で効果を測った結果ではありません。
この記事の目次
翻訳が必要になる理由と、削ってはいけないもの
職務経歴書を読む人事担当者や面接官は、前職の業界の人とは限りません。「歩留まり改善」「VMD変更」「サービス担当者会議」のような言葉は、業界の中では意味が完結していますが、外では何をした人なのかが伝わりません。
ただし、用語を全部ぼかすと「業務改善に取り組みました」のような、誰にでも書ける文になります。残すべきなのは次の3つです。
- 規模:人数、件数、期間、金額などの大きさ(自分の数字の範囲で)
- 自分の役割:提案したのか、実行したのか、調整したのか
- 変化:前と後で何が変わったか
反対に、業界固有の略語、社内の制度名、システム名、取引先名は、そのままでは通じないので言い換えの対象です。
手順1:前職の業務を「動詞」で書き出す
まず、直近の職務で自分がしたことを、用語を使ってよいので10個ほど書き出します。次に、それぞれから名詞の専門語を外し、動詞だけで言い直します。
- 「棚卸しを実施」→ 数を数えて帳簿と照合した
- 「シフト管理」→ 人員の希望と必要人数を見比べて割り振った
- 「クレーム対応」→ 不満の内容を聞き取り、原因を切り分け、社内の担当へつないだ
動詞にすると、「調べる」「調整する」「教える」「記録する」「判断する」など、業界をまたいで通じる単位になります。
応募先の職種で使われる仕事の言い回しは、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」で確認できます。同サイトは500を超える職業について、ジョブ、タスク、スキルなどの観点から情報を見える化していると、厚生労働省のリニューアル案内に書かれています(2025年3月18日の案内)。志望職種のタスクの書き方を見て、自分の動詞と近い表現を探す使い方が向いています。
手順2:経験の翻訳シートに埋める
次の表を1業務につき1行で埋めます。これが本記事の中心となる成果物です。
- ① 前職での呼び方、書くこと:社内・業界の用語のまま、記入のルール:後で消す前提で、遠慮なく書く
- ② 動詞での言い直し、書くこと:何をしたか(誰に・何を)、記入のルール:名詞の専門語を使わない
- ③ 規模、書くこと:人数・件数・期間・頻度、記入のルール:正確に言える範囲だけ。曖昧なら「約」を付ける
- ④ 自分の役割、書くこと:担当/主担当/提案者/調整役、記入のルール:チームの成果と自分の担当を分ける
- ⑤ 変化・結果、書くこと:前後の違い、周囲の反応、記入のルール:数字がなければ、起きた事実を書く
- ⑥ 応募先での対応業務、書くこと:志望職種で近い仕事、記入のルール:求人票・募集要項の言葉を借りる
- ⑦ 一般語の1文、書くこと:②〜⑥を1文にまとめる、記入のルール:業界外の友人が読んで意味が取れるか
⑥が空欄になる行は無理に埋めず、書類では使わない候補に回します。すべてを強みに見せる必要はありません。
なお、厚生労働省のジョブ・カード制度総合サイトでは、キャリア・プランシートや職務経歴シートなどの様式がPDFとExcelで提供され、多くの様式に記入例も用意されています(ジョブ・カード様式のダウンロード)。上の表を自分で作る代わりに、公的な様式で棚卸しを始め、⑥⑦の欄だけ別に足す進め方もできます。
手順3:書き換え例を見て型をつかむ
以下は説明用の例で、実在の人物や企業の記録ではありません。数字も仮のものです。
- 工程管理として段取り替えを見直し、歩留まりを改善、一般的な言葉への書き換え:製造ラインの切り替え作業の手順を見直し、準備時間を短縮。不良品として廃棄する割合を下げるため、原因を記録して作業者と共有した(例:準備時間が約2割減)
- VMD変更と客単価向上施策を担当、一般的な言葉への書き換え:売り場の商品配置を週ごとに見直し、購入点数を増やす案を店舗の6名で実行。売上データを見て、配置の変更が効いたかを確認した
- ケアプラン作成とサービス担当者会議の運営、一般的な言葉への書き換え:利用者と家族の希望を聞き取って支援計画を作成し、医療・福祉の関係者5〜6名の会議で調整役を務めた。合意内容を文書にして関係者へ配布した
どの例も、専門語を外す、規模を入れる、自分の役割を明示する、の3点が共通しています。たとえば営業事務から人事アシスタントへ移るなら、「受発注システム入力」は「期限のある定型データ入力を正確に回した」へ、「取引先調整」は「社外の相手と日程と条件を詰めた」へと、応募先の仕事に近づけて表現します。
避けたい書き換え
- 「コミュニケーション能力があります」のように、行動が消える抽象語にする
- 数字を盛る、チームの成果を自分一人の成果として書く
- 応募先の業界用語を知ったかぶりで混ぜる(面接で深掘りされると崩れます)
手順4:AIに任せる部分と、人が確認する部分
シートの①〜⑥を自分で埋めたあとなら、⑦の文面づくりや言い回しの候補出しにAIを使えます。一方、事実の正しさと「自分の言葉として言えるか」は、本人にしか確認できません。
渡す情報と依頼文
AIには、社名や取引先名、個人名、社内システム名、未公開の数字を渡さないでください。伏せ字や一般名詞に置き換えたうえで貼り付けます。
サービスによっては、会話をモデル改善に使うかどうかの設定があります。たとえばClaudeでは、プライバシー設定を調整でき、インコグニートチャットはモデル改善を有効にしていても改善には使われないと、Claudeのヘルプに説明されています(確認したのは英語版の説明で、画面や設定名はプランや時期で変わる場合があります)。ただし、学習に使われないことと、守秘義務の対象情報を外部に入力してよいことは別の話です。就業規則や守秘義務の取り決めは、自分で確認してください。
依頼文の例です。
あなたは転職書類の添削者です。次の「前職の業務メモ」を、業界外の人事担当者が読んで意味が分かる1〜2文にしてください。
条件:
- 専門用語・略語は使わず、動詞中心で書く
- 私が書いた数字と役割だけを使い、新しい数字や成果を足さない
- 分からない点は、文章に入れず末尾に質問として列挙する
- 志望職種は「(例:人事アシスタント)」。近い仕事に聞こえる言い回しを3案出す
前職の業務メモ:
動詞での言い直し:(②をここに貼る)
規模:(③)
自分の役割:(④)
変化・結果:(⑤)「新しい数字や成果を足さない」の一文は外さないでください。AIは文章を整える過程で、書いていない成果を補ってしまうことがあるためです。
判断表:AIの出力をどう扱うか
- 数字・件数、見方:自分が書いたものと一致するか、問題があるとき:差があれば元の数字に戻す
- 役割、見方:主担当を提案者などに格上げしていないか、問題があるとき:実際の担当に直す
- 専門語の残り、見方:業界外の友人が読めるか、問題があるとき:動詞に置き換え直す
- 応募先への近さ、見方:求人票の言葉と矛盾しないか、問題があるとき:⑥の欄に戻って対応業務を見直す
- 面接で説明できるか、見方:具体例を口頭で2分話せるか、問題があるとき:話せない表現は使わない
仕上げ:通じるかを確かめる
書き換えた文章は、前職を知らない人に読んでもらい、「何をした人か説明してもらう」方法が確かめやすいです。頼める人がいなければ、AIに「この文を読んで、書き手が何をしたと理解したか」を要約させ、自分の意図とずれていないかを見ます。ずれた箇所は、規模か役割の記述が足りない可能性があるので、③④の欄を見直します。
最後に、1つの応募書類で使う業務は3〜4件に絞ります。応募先の求人票に出てくる言葉と⑥の欄が重なる行を選び、残りは面接用の控えとして取っておきます。

