AI音声が固有名詞や漢字を読み間違えるときの原因の切り分けと直し方
AIを使いこなすClaudeで執筆し、GPTで自動校閲・修正しています。

AI音声の誤読は、同じ語を条件を変えて聞き比べ、原稿の言い換え・ひらがな置換・読み指定を試して対処を絞り込みます。ただし、再生結果だけでサービス内部の原因までは断定できません。やることは次の4つです。 1. 同じ文を数回生成して、誤読が毎回出るか確認する 2. 誤読した語を短い一文に取り出して再生する 3. その語だけひらがなに置き換えて再生する 4. 読み指定の機能があるサービスなら、指定して再生する 結果の読み方は次のとおりです。 • 取り出すと直る:前後の文脈や文の長さが影響している可能性があります。原稿の言い換えを試します。 • 取り出しても毎回誤る:その条件では意図した読みが出にくいと考え、表記変更や読み指定を試します。 • 生成のたびに誤読が出たり消えたりする:生成結果に揺れがあります。読みが一意になる書き方を試します。 • ひらがなにしても直らない:音が違うのか、区切りやアクセントが不自然なのかを聞き分け、対処を選び直します。 この記事の例は、すべて説明用の例です。特定サービスで実際に聞き比べた結果ではありません。
誤読は5タイプに分けて考える
「読み間違い」と一括りにすると対処が決まりません。まず聞こえた誤りを分類します。
- A 同形異読、例(説明用):「今日は人気がない」「上手に」、主な原因の見立て:文脈で読みが変わる。原稿の曖昧さ
- B 固有名詞、例(説明用):人名、地名、作品名、店名、主な原因の見立て:意図した読みが推定されていない可能性
- C 熟字訓・当て字、例(説明用):「五月雨」「紅葉」、主な原因の見立て:語ごとの個別の読み。サービスの癖が出やすい
- D 英字・数字・記号、例(説明用):「Ver.2.1」「3D」「ID」、主な原因の見立て:読ませ方が複数ある。指定不足
- E アクセント・区切り、例(説明用):読みは合っているが不自然、主な原因の見立て:表記では直しにくい
Cについて補足します。文化庁の常用漢字表の解説では、同表は漢字使用の「目安」で、付表に熟字訓や当て字など116項目(123の表記)が載っているとされています。専門分野や個人の表記まで及ぼすものではなく、都道府県名に用いる漢字などを除き、固有名詞は対象外です。人名や店名の読みをこの表だけで決めることはできません。実在する名称は本人や公式資料で読みを確認し、創作した名称は作品内で読みを決めます。
手順1:再生テストで原因を切り分ける
誤読した語ごとに、次の順で試します。
テスト1:再生成(2〜3回)同じ設定のまま生成し直します。試した回数のうち何回誤ったかを記録します。2〜3回の結果だけで規則性は断定できませんが、対処前後を比べる目安になります。揺れる語は、後述のひらがな置換を試します。
テスト2:単独の一文にする「雨宮さんが来ました。」のように、語と最小限の文だけにします。前後の文を外すと直る場合は、文脈や文の長さの影響が考えられます。一文を短く切るか、読みが一意になる言い回しに変えて、元の原稿でも確認します。
テスト3:ひらがな置換誤読した語だけをひらがなにして再生します。直れば、表記変更が有効な対処候補です。直らなければ、音の違いが残っているのか、アクセントや区切りが不自然なのかを確認します。
テスト4:読み指定次節で説明します。
手順2:対応表から対処を選ぶ
- 人名・地名が違う読みになる、テスト結果:単独でも誤る、第一手:読み指定(辞書)か、ひらがな置換、第二手:読み上げ用だけ意図した読みのカタカナ表記を試す
- 「行った」のような同形異読、テスト結果:単独だと直る、第一手:前後を言い換える、一文を短くする、第二手:該当箇所だけひらがな
- 熟字訓が違う読みになる、テスト結果:毎回誤る、第一手:ひらがな置換、第二手:読み指定
- 熟字訓の誤読が出たり消えたりする、テスト結果:再生成で揺れる、第一手:ひらがな置換を試す、第二手:別の言い回しに変更
- 英字略語・型番、テスト結果:読み方が複数ある、第一手:カタカナ表記に置換(例:エーアイ)、第二手:読み指定
- ひらがなでも不自然、テスト結果:読みは正しい、第一手:読点や改行で区切る、第二手:文を短くして再生成
ひらがな置換の注意点
ひらがな置換は最も手軽ですが、台本と字幕が同じ文章だと見た目が崩れます。そこで、表示用と読み上げ用の2本を持つ運用を提案します。読み上げ用の台本だけ置換し、置換した語は後述の記録シートに残します。ひらがなが続くと語の切れ目が分かりにくくなるため、読点で補うことも検討してください。
読み指定(辞書)の使いどころ
ElevenLabsの発音辞書ガイドには、次の内容があります。
- ルールは2種類あります。生成前にテキストを置き換えるalias(別名)と、IPAで発音を指定するphonemeです。
- 対応状況はモデルごとに表で示されています。たとえばSSMLのphonemeタグは、掲載されたモデルの一部のみ対応です。
- ルールは大文字小文字を区別します。
- 1回のAPIリクエストで適用できる辞書は最大3つです。
この記事の資料確認日は2026年10月29日です。ガイドには公開日2026年10月1日、最終更新日2026年10月15日と表示されています。
aliasは、考え方としてはひらがな置換の自動版です。説明用の設定例として、「雨宮」を「あまみや」に置き換えるルールが考えられます。日本語で意図した読みになることを保証する例ではありません。手順1のテスト4では、使用する声・モデルで辞書を適用し、指定前後の音声を聞き比べてください。直った場合も、元の原稿全体で再確認します。
歌(Suno)で誤読したとき
Sunoの歌詞の変更に関するヘルプでは、Reuse Promptで歌詞を直して新しいバージョンを作る方法が案内されています。誤読への対処としては、ひらがな置換や表記変更をした歌詞で新しいバージョンを作り、聞き比べる方法を提案します。再生成では歌い方やメロディも同じになるとは限らないため、読みだけを変えた比較としては扱わず、完成した歌全体で確認してください。
手順3:AIに誤読しやすい語を洗い出させる
原稿が長いと、誤読しそうな語を人が拾うのは大変です。生成AIに候補を出させ、人が最終確認します。AIが出す読みも間違うことがあるため、固有名詞の読みは必ず人が決めます。
渡す情報は原稿本文と、読みが決まっている固有名詞の一覧です。機密情報や実在の個人名は、説明用データに置き換えてから渡してください。
依頼文の例:
以下は音声読み上げ用の原稿です。AI音声が誤読しそうな語を洗い出してください。
対象:固有名詞、熟字訓、同形異読、英字・数字・記号を含む語
出力:表形式(語/出現箇所の前後10字/想定される読みの候補/ひらがな置換案/判断が必要な理由)
条件:
- 読みが断定できない固有名詞は「要確認」とし、推測で読みを決めない
- 原稿の文言は書き換えない
【既知の読み】雨宮=あまみや
【原稿】
(ここに貼り付け)返ってきた表のうち「要確認」は、作者本人または公式表記で読みを確認します。それ以外も、実際に再生して耳で確かめます。
記録シート
テストの結果は、語ごとに1行で残します。次回の制作で、同じ語を最初から対処できます。列は次のとおりです。
- 語、内容:誤読した語
- 前後の文、内容:誤読した文
- サービス・モデル・声、内容:設定が変わると結果も変わる
- タイプ、内容:A〜E
- 聞こえた読み/正しい読み、内容:両方
- 再生成での再現、内容:3回中何回誤ったか
- 単独再生で再現、内容:はい/いいえ
- ひらがな置換で直ったか、内容:はい/いいえ
- 採用した対処、内容:置換/表記変更/辞書/言い換え
- 備考、内容:辞書のルール、置換後の表記
記入例(説明用の例。実測ではありません):
- 雨宮、タイプ:B、再現:3/3、単独:はい、ひらがな:直った、対処:辞書に登録(雨宮→あまみや)
- 今日、タイプ:A/C、再現:1/3、単独:いいえ、ひらがな:直った、対処:読み上げ用台本で「きょう」に
- Ver.2.1、タイプ:D、再現:3/3、単独:はい、ひらがな:カタカナで直った、対処:「バージョンにてんいち」に置換
最後の行のように、置換後の表記を備考に残しておくと、台本を直すときに迷いません。
直らないときの考え方
ひらがな置換や読み指定でも直らない場合は、読みではなくアクセントや間の問題かもしれません。その場合は、次の順で試します。
- 一文を短くして、読点の位置を変える
- 別の声、または別のモデルで同じ文を再生する
- 語を言い換える
どうしても直らない語は、その語を使わない構成にするほうが早いこともあります。

